
配送を生業とするものとして配送先を知ることはとても重要で場合によっては幾つものルートを把握しないといけない時もある。危険物を運ぶ場合は許可をを得て通行可能というところもあったりする。大型進入禁止という規制もある。
こればかりは実際に走って身体で覚えていくしかない訳であるが、その覚え方は人それぞれである。最近ではスマホをはじめとした電子的なツールが主流になりつつあるが、ボスはこう言い切った
「本の、リアルな地図を使いなさい。それがいちばん覚えやすいよ」
と。大型トラックもタンクローリー も初めての私はボスのこのアドバイスをちゃんと聞いて書店で広域圏と県域の両方の地図を購入した。結構な出費だったが道を確実に覚えるためには必須だと思ったから惜しくなかった。
リアル地図のなにが良いかというと、全体を俯瞰してみれる点である。スマホやiPadでも見れなくはないがスクロールしなくてはならなかったり横のつながりがいまいち不明確だったりする。全体が俯瞰できて点でも見れるという意味ではリアル地図は最高なのだ。
毎夕次の日の配送先が分かるのだが、台帳と併せて地図を見ながら予習することが日課になった。そして配送したところはポストイット(付箋)をつけて検索しやすいようにした。
日々ポストイットの数が増えていく。それと並行して横のつながりが理解できてくる。この道を行った先のこの道があそこにつながっているのか、と。これがスキルになるということである。