笑いながら怒る怖い先輩

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「お前そんなんも出来んのか(笑)」「何度言ったらわかるのかなぁ。それじゃあいつまで経っても無理だね(笑)」

気持ちストレートで怒ってくれるのなら良いのだが、この先輩みたく笑いながら厳しく怒られると何倍も恐くて敵わなかった。普段できている作業の流れもすっかり頭から抜け落ち何度もミスったし何度も動きが止まった。こうなるともう悪循環でどんどん怒られ続けてしまうのだった。

忘れもしない、輪止めの位置についてえらく怒られた時があった。配送先に到着していつも通りに輪止めを設置した。そしてこれもいつも通りにタイヤにぴったりくっつくように。それがいけなかった。荷下ろしが終わっていざ退出しようと輪止めを外そうとしたら外れない。タイヤに圧されてピクリともしない。「どんな置き方してんだよ?わかる?わからない?これ、取れないじゃん(笑)」こちらは怖くてもうなんて言って良いか分からない。直立不動。「いや、あの、いつも通りに置きました」と返答するのが精一杯。

でもこの先輩は実のところとても優しかった。営業所へ戻る時、パーキングエリアによった。「お前、待ってる?」と先輩はお店の方に行った。私はたくさん怒られたことに気落ちして暗い顔をして助手席に座って待っていた。すると戻ってきた先輩は肉饅や飲み物をこっちに差し出しながら「ほら!!食べな」と。硬直していた体がスーッと軽くなり途端に涙が出そうになった。潤む目で肉まんを頬張っていると、「この仕事は楽しいから頑張りな。緊張感ありつつも配達が終わった時の達成感、安心感は最高だから」と前向きな言葉をくれた。笑いながら怒る怖い先輩だったが、根本はすごく面倒見が良くて優しい人だった。私と同じ異業種からの転職者だった。恐らくその時の私に過去の自分が重なったのかもしれない。そして私もすごく親近感を感じていた。

あの肉まんの味は忘れられない。でも怒るときは普通に怒って欲しかったなあ。

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