
結論から言うと、会社に慣れること。私が48歳で石油製品配送の会社に入った時、先輩ドライバーから言われたのが「まず最初にすることは、会社に慣れることだよ」だった。意外だった。会社の規則やら運転技術、積み込み荷下ろしの技術的なことが最初にすべきことだと思っていたから。この先輩の発言は肩に力が入っていた自分を少し解してくれた。
じゃあ、会社に慣れるとはどう言う状態を言うのだろうか?先輩ドライバーたちと打ち解けて話すことなのか、それともいろんな物がどこに保管されていてそれら使い方をわかっていることなのか、挨拶が普通にできることなのか、意外と漠然しすぎてわかりにくい。そこで私は顔と名前を覚えてもらえるようにどの人にも挨拶をしっかりすることをやることにした。「おはようございます!!」と「よろしくお願いします!!」と「ありがとうございます!!」はくどいぐらい言った。この3っつを言いまくって体得したのが、これら言葉を言い続けるだけで会社という組織に受け入れてもらえるということだった。どんなに不器用な人でもこの魔法の3つの言葉を言い続けるだけで会社に慣れることができるのだ。
慣れる前は挨拶をして無視されたり、「おう」っと一瞥(いちべつ)を食うだけだったり相手にされない期間が続いた。でもその3つの言葉「おはようございます!!」「よろしくお願いいたします!!」「ありがとうございます!!」を言い続けること3ヶ月目ぐらいから逆に声をかけてもらえるようになってきた。「頑張ってるじゃん」とか「お疲れ様」などと声をかけてもらえるようになって涙が出そうなくらい嬉しかった。
ああ、これが先輩の言っていた会社に慣れるということか、と思った。もちろん仕事のやり方や運転技術の方も同時進行で一生懸命学んでいった。でもベースに会社に慣れるということがなかったら運転技術や仕事のやり方なんて学べなかったと思う。会社の中に自分の存在感を作っていく、そういう意味でも会社に慣れるということは必須なのかもしれない。