
ガソリンを運ぶ仕事にもいくつかあって厳密にいうとトラックの機能ごとにポイントが付与されるのだ。例えばAというトラックは旧来型の設備で手動による荷積み荷下ろしになる。これに乗れれば2ポイント付与される。そして次にBというハイテクを装備したトラックに乗れる様になると2ポイント付与されるので、AとBに乗れれば計4ポイントのポイントを持っていることになる。更に高圧ガス系Cのトラックに乗れる様になると2ポイント付与され、Aと BとCを合わせると6ポイントになる。このポイントが高いほど給料も良くなるという仕組みだ。
実はこのポイント消滅する可能性があるのだ。どういう時に消滅するかというと、1年を通して一度もそのトラックに乗らなかった場合技術が無くなったと見なされポイントが消滅するのだ。ポイントが失われると給料も減る。そしてそのポイントは復活し無いのでまた一から訓練等を行なって合格しないといけないわけだ。なのでみんなポイントを失わないために運行管理者に「そろそろAに乗せてくれよ」と頼みに行くこともしばしばだった。
私がよく乗務していたタンクローリー は、Aという手動式の設備による古いタイプのローリーだった。最初の頃ツーマン運行が多く、それは横乗り期間でもあったので納得していたが、独り立ちした後も何故かツーマン運行が多く「???」と最初はなっていた。その内ツーマンをしている間に先輩ドライバーからポイントの話を聞かされ「なるほど」と納得したわけだけど。
ただ、当て馬的に私の仕事が使われていたことには最後まで納得いかなかった。ポイント維持のためにただ横に乗っているだけの先輩ドライバーが入れ替わり立ち替わり乗ってくる。これじゃあいつまでたっても独り立ちと言えないじゃ無いか、と。会社の仕組みにうまく利用されているだけだと心中不満が渦巻いていた。先輩ドライバーの中にはツーマンを好まない人もたくさんいた。乗務しても一言も口を聞いてくれなかったりはザラだった。また、会社の文句ばっかり言ったり私の様な歳食った新人ドライバーに対してよく思っていなかったりする人もいて私としては荷積み荷下ろし以上に気を遣ってしまうのだった。
今となれば良い思い出話だが、こいう会社の仕組みもあって新人は当て馬的に使われがちであるということをここに記しておく。せっかく独り立ちしたのに毎日ツーマンだと嫌になっちゃうよねってことで。