
県の運転免許試験場で大型トラックに実際に乗って運転の練習ができるのである。教官が助手席に乗って試験コースを走る。1時間で1万円。トラックは平ボディで前1軸、後ろ2軸のもの。1ヶ月前から電話で予約を受け付けているが結構人気があってすぐに枠が予約で埋まってしまう。おそらくだが教習場に行かずに一発で大型一種自動車免許を取得する人が事前に練習をするためだと思われる。いや、おそらくそうだろう。私の場合は数年前に大型一種自動車免許を取得してその後運転する機会がなかったので、この度大型トラックに乗る仕事をするにあたって運転感覚を取り戻す必要があり受講したのだった。
予定時間の30分前には受付を済まさないといけないため少し早めに試験場へ行った。受付の人から「どの教官が良いですか?リクエストできますよ」と言われる。が、初めて受講する私はリクエストもあったものではないため「どなたでも良いですよ」と返答をした。周りを見渡すと日本人は私ぐらいで外国籍の方がほとんどだった。おそらく普通免許の国籍解除だったり、仕事で普通一種自動車免許を取得するため練習をする人たちだったと思われる。また中型免許を一発で取りに来ただろう猛者もいた。外国籍の方たちはアグレッシブだなあ、と思った。とにかくそんな異国に来た様な雰囲気の中で私の大型トラックの運転練習は始まったのだった。
教官は高齢の方でおそらくだが過去に自動車教習所で教官をされていた方だと思われた。優しい口調で「久しぶりの運転なのですね。頑張ってやりましょう」とおっしゃった。こちらも「よろしくお願いします」と頭を下げた。周りでは教官たちが片言の英語と和製英語で外国籍の人と大きな声で教習についてのやりとりをしている。結構高圧的な物言いだな、と思われるのもあったが、伝えるためにはそうせざるを得ないのかなあと少し同情もした。運転を教えるわけだし試験にも影響するわけだら。
私の方はというと、久しぶりの大型トラックということとオーバーハングの感覚がわからず交差点での右左折練習では優しかった教官が途端に鬼になり「危ないだろ!!これが大型トラック。わかる!!」とびっくりする一幕もあった。怒られながらもS字コーナーやクランク、後退などそつ無くこなして行く。30分ぐらいするとかなり上達してきて怒っていた教官もだんだんと褒めてくれる様になり「あなたは運転がすごく丁寧で上手だ。これならラフターも一発で合格できるから私が教えてあげるよ」と売り込みもあったり。ちょっとした異文化交流も味わえて私の大型トラックの運転練習は終わったのだった。