錆びゆくコンビナート

先輩ドライバーたちの口癖は「昔は寝る時間なんてほとんどなくて走り回ってた。給料も年収800万円ぐらいあった。あの時代は良かった」と。私の心中は「だからどうした?今はだだ下がりじゃないか」と覚めて聞いていた。栄枯盛衰。今は石油製品輸送においてもその消費量がだんだんと減ってきているため輸送量も当然減ってくる。要因は、ハイブリッド車の普及、燃費の向上、自家用車を持たない世代が増えた、などなど。それに昨今の暖冬で灯油の需要も減っている。都市ガスも増え灯油を購入する人も減った。それに折からの二酸化炭素排出規制による石油製品の製造の減少。石油製品を輸送するための鉄道の引き込み線も集約され廃線になっていた。そんなわけでかつては不夜城と言われたコンビナートも活気がない様に見えた。

年末年始はものすごく忙しくなると言われていた。でも実際蓋を開けてみると確かに普段より少し忙しかったがそんなに忙しくは無かった。もっと稼ぎたい、働きたいと思っていた私は残念で仕方なかった。私が数ヶ月後に退職するにあたってその理由には「未来がない」と感じた部分もあった。古老の先輩たちはたくさんお金を稼げたし家も建てて子どもたちを良い大学へやった後だ。要は逃げ切り成功者たちだ。でも私の様に家族があってこれから稼がないといけない者にとっては未来のない産業にいても稼げないわけだからどうしても転職等考えてしまうのだ。

会社も石油製品には見切りをつけている様で、タンクローリー などを新規に購入することもなく古いタンクローリー を修理しながら使っていた。若い先輩たちも石油製品の配送が減ってきている中、高圧ガス系の配送をどんどんとやっていた。「これからもうローリー(石油製品の配送)の仕事はどんどんなっくなっていく。お前も資格とって天然ガスとかそっちをできる様にしておいたほうがいいぞ」と言われた。確かにこの仕事を私は選んで転職を決断したのだが、蓋を開けてみて実は下降産業であることを知ったのだった。

なのでコンビナート周辺では明るい話にはあまり遭遇しなかった。昔はよかった、と言う言葉と共に昔話が聞こえてくるばかり。まあ、でもこれは世界的な流れでもあるので日本だけが違う流れを行くわけには行かないだろう。なので産業の構造の大変革が求められていて悪い話ばかりではなく実はそこにチャンスも転がっているはずだ。ピンチはチャンス、である。

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