
結論、①とにかく良質な睡眠が取れる様になる。②胃炎、食道炎がなくなる。③規則正しい生活になる。④物品の整理整頓ができる様になる。⑤車を運転することが好きになる。⑥外食が減った。⑦お金が貯まる。⑧習慣化する力がつく。などなどあげればキリがない。
断酒をしたきっかけは、酩酊して大失敗をしたからというのもあるが、お酒を飲むことが目的になっていてそのために毎日を生きる様になっていたからである。いわゆるアルコール依存症である。寝ても覚めてもお酒のことしか考えていなかった。健康のためと言いつつランニングをしマラソン大会に出てもそれも全ておいしいお酒を飲むためであった。資格の勉強を始めたのもお酒を飲む時間を遅らせるため。旅行に行くのもお酒を飲みたいがため。お酒中心の生活だった。
なぜ断酒したのか。それは酩酊して失敗したというのもあるが、実は、もうお酒を飲まずにはいられない自分に危機感を持ったからだった。自分では止められない。そして常に逆流性食道炎だった。健康面でも限界が来ていた。そう自分ではもうどうしようもできない、人の手を借りないと自分はお酒を断つことはできないと自覚したのだった。弱い自分を認めたのだ。
そこで私が駆け込んだ先は、心療内科だった。「先生。もう自分の力ではお酒を止めることができないのです。」と素直に打ち明けた。先生は静かに厳しく「今からお酒は一滴も飲んではいけません。薬を処方します。」と私に告げたのであった。
私はその心療内科の先生を信頼していたので、言われたことはしっかり守ることにしてその後断酒生活を続けた。そうして2年が経った。断酒した当初は幻覚幻聴まではいかずとも激しい飲酒欲求に苛まされた。ゼロカロリーのコーラを箱買いして2週間ぐらいをやり過ごした。2週間過ぎる頃から不思議とお酒を飲みたいという欲求は減っていた。
これまでお酒を飲みに行っていた人たちとは疎遠になったが、特にそれで困ったこともない。砂上の楼閣というか、お酒で付き合っていた間柄というのは実は中身はそれほどなかったのかもしれない。愚痴を言い合っていたのかもしれないが、今は愚痴は日記やメモ帳に書き殴っていてそれで十分だ。
ただ、唯一最近まで手を出せなかったことがあった。それが旅行である。旅行に行ってしまうとお酒を飲みたくなってしまうのではないか、という怖さがあった。でもそれも大丈夫だった。本とコーヒーがあれば十分だった。お酒に飲まれてしまう自分であるからお酒から離れた生活を。弱い自分であるから人や薬の助けを借りて生きる生活を。それで良いと思う。