『ゴルギアス』プラトン著加来彰俊訳(岩波文庫)を読み途中だけどアウトプットしてみる

納富信留先生が『プラトン 哲学者とは何か』(NHK出版)の中でプラトンの著作で最初に読むべき本として挙げられていたのがこの本である。なのでちょっと回り道はしたものの『ゴルギアス』を読み始めた。その途中経過をアウトプットしてみようと思う。

プラトンはかねてからユーモアセンスに溢れていることが言われている。この『ゴルギアス』にも随所にそれが見られる。ソクラテスは弁論術の大家であるゴルギアスと最初ディアレクティケー(対話の術)をするが、さすが大家らしくゴルギアスは自分の負けを早々に認めてしまう。そこら辺は潔い。

しかし潔くないのが弟子たち。ポロスとカルリクレス。ポロスも早々にソクラテスにやり込められて退く。次に出てきたのがカルリクレスだ。彼はソクラテスの術、ディアレクティケーにやり込められつつもなかなか負けようとしない。「哲学を年取ってやるなんて恥ずかしいことだ、ソクラテス」などと吹っかけ続ける。しかしソクラテスは全然負けていない。自分に正しさがなければそれそれで言ってほしいと言うスタンスだから虚飾というものが全くない。だから強い。ディアレクティケーにより「AはBである。それでいいかね?」「じゃあBはCである。それでいいかね?」「ということはだ。AはCである。こういうことを言っているので同意が取れたということでいいかね」と詰めていく。

だんだんと追い詰められるカルリクレスはアポリア(対話によって突き落とされる困惑)に陥る。そして「いや、ゼウスに誓って、何のことだかさっぱりわからないよ」と根を上げ出す。このあたりのソクラテスの詰めかたと、そこでアポリアに陥って素直に根をあげる様子がとてもユーモラスに展開される。カルリクレスはついに師匠に助けを求めるが師匠のゴルギアスは「これ、カルリクレス。ソクラテスさんは実に真面目に話をされている。ちゃんと聞きなさい」とたしなめたり。このあたりもプラトンらしいセンスだ。

そしていよいよカルリクレスが追い詰められる文言が以下の通りだ

他方、これに対して、もう一方の種類のものは、何が善いことであり、何が悪いことであるかを、よく知っているものである。そしてぼくは、快楽を目標とするほうの仕事に属するものとしては、料理法という、技術ではなしに、経験をあげたし、他方、善を目標とするほうの仕事にぞくするものとしては、医療の技術をあげたのであった。(171)

その事柄とはつまり、人生いかに生くべきか、ということなのだ。すなわち、君がぼくに勧めているような、それこそ立派な大の男のすることだという、弁論術を修めて民衆の前で話をするとか、また、君たちが現在やっているような仕方で政治活動をするとかして、そういうふうにして生きるべきか、それとも、このぼくが行っているような知恵を愛し求める哲学の中での生活を送るべきか、そのどちらにすべきであるかということであり、そしてまた、後者の生活法は前者のそれと比べて、いったい、どこにその優劣はあるのか、ということなのだ。(172)

そのうちの一方は、技術的なものであって、魂にとっての最善が何であるかについて、あらかじめ何らかの考慮をしているものであるが、これに反して、もう一方のものは、最善ということは無視して、これまた身体の場合と同じように、ただ魂の快楽だけを問題にし、どうしたなら魂に快楽がもたらされるか、ということは考えているけれども、快楽のなかでも、どれはより善いものであり、どれはより悪いものであるかということについては、考えてみようともしなければ、また、より善いことになろうが、より悪いことになろうが、ただ気にいられて喜ばれさえすれば、それ以外のことは全然、関心のないと言ったものなのである。(174)

そしてぼくとしては、そのようなやり方こそ「迎合」であると主張しているのだ。その対象が身体であろうと、魂であろうと、あるいはまた、ほかの何であろうと、もしひとがそのものの快楽だけに気をつかって、より善いことやより悪いことについては、考えてもみないようなものがあるとすれば、そのものについても同じことなのだ。

ゴルギアス』プラトン著加来彰俊訳(岩波文庫)より引用

弁論術に対するソクラテスのディアレクティケーの途中経過であるが、ほぼこの時点で3番手のカルリクレスは白旗を出している。でもまだ食らいついて「いや、過去には偉大なる弁論家がいた」と訴える。その先はこれから読むのでまた後日。

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