
オレンジ、赤、黄緑、水色、黄色。これは僕がうつ病絶頂期(自覚なし)に履いていたズボンである。うつ病の人の傾向として派手な色を選んで身につけてしまうということがあるととある本で読んだ。まさにそれにどハマリしていたのが僕だった。今では絶対選ばないし履けない。回復期にある今の自分はどにかく地味な色しか選ばない。年齢的にももう色付きは無理だし、ちょっと恥ずかしかったりする。それはイコールだいぶうつ病が良くなってきているのだと解釈している。
思い返せばその頃がうつ病が本当にひどかったのだと思う。自覚がないというのは怖いもので、その頃は眠りも浅かったけど別になんとも思っていなかったし、よく夜中の2時ぐらいに覚醒して普通にそこから「ランニングに行こう」と走りに行ったりしていた。夜中の2時だ。普通じゃない。今なら「それはおかしい」と思ってドクターに相談に行くと思う。だからその時は睡眠も充分ではなかったのだ。
なぜこんなことを書くのかと言うと、不思議でしょうがないのだ。当時そんな派手な服を着て闊歩し夜中の2時にランニングをしそのまま仕事へゆき夜勤勤務に入り、明けてまた走って家に帰るとか、尋常じゃない活動をしていた。うつ病に対して無知だったことと、やはりうつ病を軽くみすぎていたのだと思う。薬を飲むこともどこかいい加減な気持ちがあったのだと思う。「効かないよ」とか「薬なんかに頼らなくても」とか。実は一度薬の調整がうまくいかず一日中めまいが止まらないときがあった。そのときに薬に対する不信感が生まれてしまったのも事実だ。それ以降薬を飲むのが怖くなったし避ける要因になった。
薬も信用できない、なのでドクターの言うこともいい加減に受け流して、僕は何がしたかったのだろう。その頃の僕はうつ病の自分を自覚したくなかったし、もしかしたらもうちょっと次元が違ってうつ病ではないと思っていたのかも知れない。きっとそうだ。だからこそこの病気に向き合えなかったのだ。ようやくうつ病だとわかったのが、お酒を止められなくなり、このままではやばいと思ってドクターのところへ駆け込んだときだった。この自覚がイコールうつ病の自覚へとやっとつながったのだった。ここまで長かった。もう少し早くに自覚できていたらなあと思う。思うだけで、過去はどうすることもできない。
クローゼットには黒や紺の色のズボンや服がほとんどになった。それでいいのだ。