うつ病闘病生活ー寛解を目指して。大幅な服薬変更ー

2020年12月1日。この日は大事な一日となった。そう大幅な服薬変更がなされた日なのだ。2019年から2020年11月にかけて僕に処方されていた薬は大雑把に言うと「活動を促進する薬」だった。要は気分が沈んだときなどにそれら薬を飲むと活気が出て活動的になるというものだった。確かに気分が沈み込むことが多く、その悩みを先生に相談していたのでそういう薬が処方されていたのだと思う。で、その処方された薬を飲み続けた結果どうなったかというと、自分の意志とは関係なく外へ外へと向かって活動していく自分が出現したのだ。無理だとわかっていてもNPO法人を立ち上げようとあれこれ動いたり、実際には無理だよとわかっているのにトラック業界に転職しようとしたり、とにかく中の人的な自分は冷静なのに行動面では逆に動いてしまう自分がいたのだ。自分の二重性に翻弄されていたのだ。やめたほうがいいとわかっているけど、でも体が勝手に動いてしまうという現実。

このような状態で日々安定して過ごせるわけもなく、結局僕は心療内科の先生に泣きついたのだ。「思っていることは冷静なのに体が違う方へ動いていしまうのです。転職したら絶対後悔するってわかっているのに体は転職しようと動いているのです。自分で自分をコントロールできないんです」と。先生は状況をすぐに飲み込んでくれ「それでは薬を変更しましょう。心を安定させる薬メインでいきましょう」とおっしゃった。これまでの活動推進系の薬から心の安定をメインとした薬に変更になった。それが12月1日だった。

服薬変更がなされどうなったかというと、これほど明確に変化が現れるのかというぐらい心の落ち着きを取り戻したのだった。それまで今の仕事をやめたいとばかり思っていたのも「今日は今日の風が吹くし明日は明日の風が吹く」とあっけらかんと思えるようになったし、そう思えるようになったので転職のことも考えることがなくなり、途端に興味関心がなくなった。本当に転職について考えなくなったのだ。「なんであんなにも転職に勤しんでいたのだろう？？？」とクエスチョンが何度も頭の中でリフレインされるのだった。そして遂には2018年に異業種へ転職したこともこれまではチャレンジだったと思っていたが、12月1日の服薬変更後は冷静にみれるようになり「無謀だった。今なら絶対にしない」と完全に否定する自分がいるのだ。こんなことは今までなかった。逆にその経験を活かそうと転職につなげようとしていた自分がいたのだ。とにかく全てにおいて冷静な自分が出現したのだ。生活にしてもそう。仕事にしてもそう。とにかく今は何を大事にすべきか、それをちゃんとわかりながら日常が送れるようになった。それは同時に自分を大事にしているということでもあるなあと思ったりしている。

また今のうつ病をこれ以上悪化させることがないようにしないとけないと優先順位の差し替えがちゃんと行われた。そううつ病のある生活をなによりも安定させなければならない、と。それを考えたとき、「生活」「睡眠」「仕事」の3本柱のどれが欠けても今はいけないのであって、転職をすると「睡眠」と「仕事」が不安定になり、3分の2がだめになるのでそれだと自分が自分を支えることができなくなる。だから転職はだめだ、という結論に至るわけだ。こんな冷静な分析が12月１日以前の僕にはできなかった。でも今はできるようになっている。それは服薬の変更が大きかったのだけど、もう一つは日々日記なり手帳に思いを書き出していたことが下支えをしてくれていたのだと思う。思ったことを何にも書き留めて置かなかったら振り返ることもできなかったし自分を客観的に捉えることもできなかった。服薬変更前と服薬変更後を比べることができた。そのことがさらなる客観性を僕に与えたのだと思う。

断酒してから２年と１１ヶ月が過ぎた今、僕のうつ病真剣闘病期間も同じく２年１１ヶ月で、２年１１ヶ月目にしてやっと自分にぴたりと合った薬に出会えたと言おうか。今ようやく安定している自分に巡り会えたのだった。薬に翻弄された２年と１１ヶ月だったかもしれないが、でもお酒もやめて真剣に病と向き合い始めた２年でもあったわけで、それはそれで無駄なことはなかったのだと思っている。そして僕は自分でメモ帳に次のようなメモを残していた

「自分で自分を救えなくなったらだめだ。誰も自分を救ってくれない」

大丈夫だ。僕はまだ僕自身で自分を助けられる状況に身をおいている。よく踏みとどまった。そしてよく考えた。そしてよく先生に相談できた。そんなところだ。