
巡り巡って僕のところに転職の話がやってきた。ありがたいことだ。こんな僕のようなだめ人間であっても目をかけてもらえているなんて嬉しかったりした。それで僕は結局どうしたかというと転職の話はお断りをした。
なぜ断ったのか。それはこうだ。生活、睡眠、仕事の3本柱を立てて、それらの半分以上、要は3分の2(3つのうち2つ)が成り立たなければ「やらない」と決断することである。今回の転職の話は新規事業で僕の経験も活かされる意味ではおもしろそうな仕事であった。しかし問題は通勤距離である。片道1時間半かかるのだ。そして使用する路線が頻繁に人身事故などで遅延する。そうなると途端に時間が読めなくなる。そうなるとどうなるか?通勤時間で膨大な時間を消費することになる。単にA地点からB地点に行くだけのためにである。本でも読めばいいというが、そう簡単なものではない。座れないだろうしずっと何時間も立っているだけで体は疲れてしまい職場につくころにはすっかり疲弊しきっている。逆もしかりだ。帰宅する際も遅れてしまえばそれだけ睡眠時間が削られるということになる。
そうなると僕の立てた3つの柱の内、生活と睡眠が成り立たなくなってしまう。仕事は確かに楽しいかもしれないが、大事な3分の2がだめになると僕が僕として立っていられなくなる。そしてそうなるともう自分で自分を救うことができなくなるだ。誰も僕の代わりに僕を助けてくれることなんてできない。助けられるのは自分自身だけなのだ。それに僕はうつ病者だ。睡眠が削られることは病気の再発を誘発しかねない。
昔の僕だったら、昔の僕だったら感覚だけで転職をしていたかもしれない。でも今の僕は一旦考えるくせがついているので、感覚だけで「やろう」なんてことはしない。手帳や日記に自分の思いを書いて自分とちゃんと面談をしてきた。その結果が今回の「転職しない」という決断だった。僕は僕を信頼して対話をした。だから結果としてはこれで良いのだ。僕が僕を自分で救える範囲にいさせること。大丈夫、そこにいることができている間は仕事が大変でも生活、睡眠が確保されていればなんとでも対応できる。